読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

真夜中

ファーストキスは17歳。

2月 ⑨ 生活

家のカレーには大根が入っていて、その大根があんまり好きじゃない。じゃがいもにしてくれ、と思う。夕食は基本的にパパが作るから、仕方ないなとも思う。糖質制限をしているからじゃがいもをたくさんは食べてはいけないのだ。
パパはたべることがあまり好きではないのに定食屋を営んでいる。お母さんに聞いたら、会社勤めが向いていないからって言われてちょっと納得した。たべることと作ることは違うから、好きでなくてもやっていけるのかもしれない。
私はパパのことをよく知らない。今知っているパパのことはぜんぶお母さんから聞いたものだから、本当ではないことも含まれているのだろう。でも多分パパは甘いものがすき。おそらく後ろめたい気持ちがあるときに私に甘いお菓子をたくさん買ってくる。パパと私はお菓子でつながっている。
お母さんはよく私に親なんていつかいなくなっちゃうんだからと言う。何回も何回も言う。老後の面倒は見なくていいからね、そう言って貯金もしている。だから私はお母さんが死ぬときあまりかなしくないだろうなと思う。悲しいけれど、すぐに受け入れられるだろうなと思う。でも、パパが死ぬことはうまく想像できない。私はいっぱい泣いて、生きているころにも見せたことがないくらいいっぱい泣いて、立ち直るのに時間がかかる気がしている。

日曜日、たまにお母さんが料理をすると嫌味みたいにじゃがいもがたくさん入ったカレーがでてくる。もし私にもうひとつ家族ができたら、私はどっちのカレーを作るんだろう。大根もじゃがいもも入ったカレーを作るのかもしれない。それは具沢山で豪華だなと思う。温泉卵ものせたい。