10月 ① 特別でいる
大好きな人がパンツを見たがるから、お尻がレースで透けてるやつかTバックしか履かなくなった。
胸だってぜんぜんないのに精一杯寄せてみたりして、ブラジャーの中で窮屈そうだ。
肩出しのニットを着るし、ちょっとくらい寒くたって生脚でいるし、去年着ていた服はもう趣味じゃなくなって、ほとんど妹にあげてしまった。
出し惜しみした方が良いなんて言葉をよく聞くが、そんなことをしている時間がないからカッコつけてるところからダサいところまでぜんぶ見せてしまう。
「ほんとに見せてくるやつなんかお前だけだよ」
いつからかここではずっと私がいちばんで、自信なんかなく、いちばん泣き喚いて、いちばん八つ当たりした。
でも、自分がやっていることを誰かがやり始めたら、もう古いなって新しい何かを始めるような、そんな人間にさせてくれたのはあなただよ。
私は、結婚とか赤ちゃんとかそういう幸せはきっとあげられないけれど、そうじゃない幸せをあげたいっていつも思っている。
男は女の初めての男になりたがり、女は男の最後の女になりたがる。
私はあなたに初めてをあげたいよ。
こんな田舎のちっちゃなお店だけど、まだまだ誰もやったことのないなにかがあるはずだから。