8月 ③ 嫌われないように何度もつなぎ直した
大阪に行った。
「美味しいものいっぱい食べておなか疲れてるでしょう」
寝起きで作ってくれたあんかけそうめんにはオクラと豚肉が入っていて、梅干しの酸味がちょうどよかった。アクを掬う指がきれいだと思った。
夜行バスで12時間かけて会いに行ったその人は前より体つきががっしりしていて、それから、少し疲れてた。
「辛くなったらワンピースを読むといいよ」
眠る間際に呟いたら、なんで?って聞かれたけど答えなかった。五千円挟んできたから、美味しいごはんでもたべてください。
部屋の掃除も洗濯も洗い物も、恥ずかしかったから全部妖精さんがやったことにした。
「女の子に呼ばれたから行くわあ」
「じゃあ私クラブで遊んでくるから気にしないで」
ほんとは手をつないで帰りたかったけど、気づいたら名前も知らない人とセックスしてて、でもふつうに気持ちよくて、変だなあって思った。
キスすると飽きてしまうと言っていたから、一生キスしないでおこうって思った。
いつまでも私のお兄ちゃんでいたらいいよ。