7月 ① 見た目とか体裁とかどうでもいいっていって抱きしめてよ
10センチのヒールを履いた。
「私、身長低いのコンプレックスなんです」って言って、ぺたんこ靴履いてる身長145センチの女の子にムカついたから。
いつだって私がいちばんがよくて、でもそのためにはいろんな努力が必要だった。
そんな器じゃないけど、私だって誰かに好かれたいと思った。
出会ったなかでいちばん綺麗な女の子に「最近可愛くなった」って言われて、嬉しかった。
大きい鏡の前に立って、好きな人を呼んだ。158センチになった私と並んでも、彼は頭1.5個分以上大きい。
「私、店長のこと背低いって思ったことないです」
ありがとって言われた。ほんとに思っただけだけどな。
「焦らなくていい」って言われると、焦らなきゃいけなかったのかと気がつく。この時期に内定ゼロの女。
でも、私、ここで日記を書き始めたとき、まだ高校生だったんです。
体の成長と心の成長が伴っていないから、ちぐはぐで、大人になってくれって言われたらほんとうにしんどいよ。