9月 ① いろんな愛を集めた色
「プライドだけじゃご飯は食べられない」
珍しくお喋りだったから、ずっと隣で話を聞いていた。私は6割くらいしかこの人の話を理解できないが、それは彼も分かっているだろう。
お前は頑張っている方だと思うよ、と褒めたりするのは調教みたいで、可笑しかった。いつも誰もいないとこで話そうね。
どうせなら一番になりにいこうよと彼が言った時、とても嬉しかった。こんなプライドが高くて負けず嫌いな自分がずっとずっと嫌だったから、時間も空間も共有したばかりの人が私を肯定してくれたように思った。
「お前と同じ年くらいの時に、お前と出会ってたら面白かっただろうな」
私は、今のあなたに出会っていなかったらどうなっていたのか考えると怖くなるくらいだよ。