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真夜中

ファーストキスは17歳。

4月 ③ 月くらいなら迎えに行ったのに

大学の、奥の奥の方の滅多に人が来ないようなところに、小さなソファがある。1年生の頃、私はそこで缶コーヒーを飲むのが好きで、となりでは好きな先輩が煙草を吸っていた。あれから2年が経って、おんなじ場所で、今度は私がひとりで煙草を吸っている。あんまりおいしくない。おまもりみたいに、大事に息を吸う。

 

源氏名でいるとき、ずっと嘘をついてるみたいな気がしていた。けれど、ちがうのかもって、こころもちゃんと伝わっているのかもって思えるようになった。自分の中にたくさんの顔をもった私がいることを、いつか、ちゃんと認めてあげたい。もうすこしかな。結婚式場でも働き始めたの。だれかの幸せそうな姿を見るのが好き。

 

私のこと、見てれば誰と恋をしてどんな風に離れたか分かりますよ、ってひとつ年下の男の子に言われた。分かりやすいからって。肩にふれる体温がやけに熱かった。

 

最近の毎日はおだやかで、勉強がたのしくて、こういうのを充実って言うのかなって思う。