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真夜中

ファーストキスは17歳。

2月 ② stay gold

パパとちゃんと話をしたことがない。元気か?とかSMAP解散しちゃったなあとかそういう話はされるけれど、なにが好きか将来どうなりたいかとかそういう話はしたことがない。

私が中学校に行かなくなった時、パパはお母さんに向かってお前のせいだろと怒鳴ったらしい。どんな気持ちで言ったんだろう。私はパパのことよく知らないし、パパも私のことをよく知らないと思う。

パパのことはいつも風景みたいに思い出す。昨日、友だちの車に乗って高速道路を走っていたとき、パパが車で大宮駅まで送ってくれたことが頭に浮かんだ。パパと私は特別になにか喋ることもなく、私は窓の外の建物をずっと眺めていた。車の中では、聞いたことがあるのかないのかも分からないような英語の曲が流れていて、パパはこういう曲が好きなのかとぼんやり思った。

パパは遊んでいる大人だと思う。お母さんとはもう仲良くなんかなくて、ただ結婚しているからおんなじ家で暮らしている。パパが夜出かけるとき、それが仕事なのか遊びなのかよく分からなかったけれど、朝起きてパパの寝室からお酒のにおいがしたときにどっちなのかが分かるのだった。そのくらいの年代の人ってどんな風に遊びをするんだろうか。想像もつかないけれど、パパはなにかうまくいかない、どこにやったらいいか分からないような気持ちをそういうことで発散しているのだろう。

私は、お母さんが死ぬ時よりもパパが死ぬ時のほうが泣く気がしている。遺伝的な話で両親と性格が似るのなら、私のさみしがりやな性格はパパに似ているはずだ。それなのに、結局この人のことなんにも分からなかったなあと恋人と別れるときのような気持ちで泣くんじゃないかと思う。

パパは私が実家に帰るたびに、ケーキやらなにやら買ってくる。回転寿司に連れて行く。私はパパが買ってやろうかと言ったものを断らないように心がけている。断ったら、パパが死んだとき後悔する気がするから。

 

これだけ書いておいて、実生活でパパのことをパパと呼んだことがない。なんかそのくらい、空想上の人みたいに遠いのです。

 

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