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真夜中

ファーストキスは17歳。

3月 ⑦ 瞬き

高校を卒業した。卒業証書授与の間鳴り止まない拍手がこの学校のすべてを表現していたように思う。たのしく学校に通える人ばかりではない。毎日健やかに過ごせる人ばかりではない。学校に行けなかったり、天涯孤独だったり、自分の性別が許せなかったり、こんな風でなくとも何か悩んで抱えている人が多い高校だった。だからみんな優しくて、みんな一生懸命で、どうしようもないクズもバカも受け入れちゃうような広さを持っていた。あの拍手は先生や友人や親からのよく頑張ったねってしるしなんだと思う。
私は生まれ変わるつもりで高校に入学したけれど、生まれ変わる必要なんて無かったんだって最後の最後で分かった。3年間で出会えたたくさんの人のおかげ。

付き合っていた人が証書を受け取るのを胸をくるしくさせながらずっと見ていた。部活動の先生が作ってくれたアルバムにはその人との写真ばかりが挟んであってちょっとだけ笑える。また秋が来たら複雑な気分で彼のことを思い出すんだろうけれど、今よりマシになってることを願ってる。

修学旅行も文化祭も自由参加だったから卒業文集も自由参加で、薄っぺらいA5サイズの冊子が配られた。友人の書いたメッセージがとても良くて泣きそうになってしまった。ちゃらちゃらしていたあの子や一緒に授業サボったりしていたあの子の文章を見ると、わたしも書いておいてよかったなと思う。

3年間が終わって次は4年間。高校に入学するときもこんな風に心細かった。でも、今度は少しの期待も混ざってる。桜はまだ咲いていないけど、また春が来たんだ。そしてすぐ大好きな夏になる。