真夜中

ファーストキスは17歳。

7月 ② かよわい笑い声と犬みたいな目

お客さんからもらったビールを昼間から飲んでいる。むいてないって思っていたけれど、こうして私に会いに来てくれて、お土産までくれる人がいるのは嬉しい。生きていたら、私のどこかが誰かのどこかに刺さる瞬間がある。それがどんなにいびつな部分でも。

 

今日は授業を3コマ受けたので、夕方を前にして充実した気分。天気がいいし、部屋の片付けもしよう。それから、溜まってるDVDを見なくちゃいけない。

 

今度、私の住んでいる部屋にお母さんが来るらしい。初めての事態。私の生活って他の人の目にはどううつるのかな。

お母さんが他人だって気づいたのは、割と最近のこと。

 

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7月 ① せつなくなるはずじゃなかったのにどうして

仙台の思い出。

 

大森靖子ちゃんのライブ。

2年ぶりくらいに見る靖子ちゃんは、相変わらず強くて、格好良くて、でも冷たくなんかなかった。

ケイスケカンダの青い服を着て行った。 

 

半年くらい仲良くしてる兄ちゃんが出張で来ていたから、一緒に眠った。たまには人と眠るのも良い。抱きしめたら、泣き出しそうな顔をしていた。10才も年上の男の人を可愛いと思ってしまう。

 

自分をぜんぶ捨てるようなセックスをした。噛まれて、叩かれて、踏まれて、人間じゃないみたいだけど、終わったあとはすごくすっきりする。私は、もうすこしで向こう側にいけるだろう。

別れ際、昼下がりの道路のど真ん中で抱き寄せてちゅーしてくれたのが嬉しかった。ばかみたいだけど、許してほしい。

 

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6月 ② 寒い夜や暗い日々がつらいだけじゃないって知ってた

ふと、自動積立にしていたお金を確認したら、結構な額が貯まっていて驚いた。やっと運転免許がとれる。こんなにバイトして何になるんだろうって思ったこともあったけれど、続けて良かった。今年中は今のペースで働いて、来年は勉強と就活に集中できたらいいなあ、と思う。正直に言って、私は良くも悪くもいろんなことを受け止めてしまうから、水商売には向いていない。でも良かったのは、人と話すのが怖くなくなったこと。

 

大学もバイトもない日が3日間もあった。好きだった人とその人の恋人と後輩とお酒を飲んだ。歩いてる時に、妹みたいでほんと可愛いんだよなと言って頭を撫でられた。私は大抵、好きな人の恋人にはなれないけれど、それでもいいかと思った。

 

タオルケットを洗濯した次の日はよく眠れる。部屋のオイルをハッカとヒノキにした。ナスとトマトのカレーを作って、とうもろこしを茹でて、ビールを飲む。夏がすき。他人の家から漂ってくるにおいがいちばんおいしい季節。

 

 

6月 ① ふつうの幸せ守るの

「〇〇くんとはたとえ3人だとしても二度と会いたくない。でも、にいことはこれからも仲良くしたい。ごめんね。」

 

セックスのせいで人間関係が変わってしまうことが時々ある。

私は、3人でマリオカートしたり、たこ焼きしたり、お酒を飲んだりする時間が大好きだったから、すこしだけ怒っている。

にいこはもっと自分を大切にした方がいいよって何度も言われたけれど、この言葉をそっくりそのまま返したい。

私、いつだったか〇〇くんとセックスしたけど、なにも変わらなかったよ。変わるくらいなら、友達やめるくらいなら、私はしないよ。

 

とはいえ、私はふたりと仲が悪くなったわけではないので、これからふたりの話を聞いて、どちらの言葉にもうんうんって頷くことでしょう。

 

友情も愛情も性欲もぜんぶ一緒くたにして「すきだよ」って言いたい。

 

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突然、3日くらい実家に帰った。やっぱり落ち着く。

明日からまた学校です。

美術と向き合って、私にできることだけ見つめていよう。

5月 ③ せかす雨が降り出して

私はひとりでカラオケに行くのも、ひとりで学食を食べるのも、ひとりでどこかへ旅行するのも好き。

だけど、一人ぼっちではないと思う。

隣に座った男の子が席を立ったので、プリントを取っておいてあげたら、丁寧にお礼を言われた。なんだか嬉しかった。

 

最近、勉強していたことがつながっていくような心地がして、毎日楽しい。今まで、特に去年は、なんのためにここにいるのかわからなくなることが沢山あった。それは、点をかき集めていたからだったんだ。これからは、色んな図形を描いていける。かっこよくって、でもちょっとださくって、なんだかすべてを許せるような、そんな形にしたい。

 

 

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課題で読んだ論文にでてきた、クリムトの絵。愛が溢れてる。

 

 

5月 ② 朝のひかり

3月のライオンを観た。人は、ずっと後になって思いがけないところから救われる瞬間がある。というような台詞があって、心に沁みた。

私は今、いろんな人と出会って話して、過去の自分に優しくしている最中なのだと思う。

 

東京に帰って街を歩くと、男の人が声をかけてくる。私は、その人の心が知りたいって思う。どんな風に生きてきたの。なにか悲しいことはあった?嬉しいことはあった?好きなものは最後まで取っておくタイプですか。私のどんなところが良いと感じるのかを教えて。私はあなたの心を通して自分のことを分かりたい。

 

誰にも言えなかった真っ黒な気持ちを話せたことより、可愛いって言われたことより、抱きしめられたことより、セックスしたことより、ほっぺたをぎゅーってされたことが、帰りの電車で手を引いてくれたことが、いちばん嬉しかった。なんて変かな。

 

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5月 ① 必然のように別れて

ゴールデンウィーク。ずっと友達と過ごした。うどんを手作りしたり、スパゲッティをたくさん茹でて色んな味付けをしてみたり、酸辣湯麺を食べに行ったりした。バーベキューでマシュマロも焼いた。食べてばっかり。久しぶりに朝まで遊んで、たのしかった。

 

私は、ひとりでいる時間も、誰かと過ごす時間も、どっちも好き。

そういうことが多い。どちらかを選べない。

 

遠くで社会人をしている大好きな先輩が来てくれて、少しだけお話しできた。白黒はっきりつけなくていいんだよ、若いんだからすぐ決める必要なんてないし、味見だっていいじゃないかって言ってくれた。大人っぽくなったって褒められて嬉しかった。どこかの歯車が違えば、この人のことを好きになっていただろうなと思った。

 

今日は夕方に強い雨が降って、しばらくして止んだ。落ちかけの太陽に照らされて、草も花もぴかぴかしていた。たんぽぽの綿毛が生えていて、春が過ぎようとしていることに気がついた。

写真なんて昔はだいっきらいだったけれど、今はちゃんと写れる。

 

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